「できないことの多い自分でよかった」――ニトリ創業者の言葉に、特性ある子の未来を見る

「できないことの多い自分でよかった」
本の帯には、ニトリ 創業者・会長の 似鳥昭雄 氏の写真とともに、そんな言葉が書かれていました。
似鳥氏は74歳で発達障害の診断を受けた、発達障害当事者でもあります。
特性のある子どもを育てていると、「できないことの多い自分でよかった」なんて、到底言える未来が来るとは思えない――。
そう感じる保護者の方は少なくないと思います。
毎日のように起きる、
- 忘れ物
- 気づかなさ
- 強いこだわり
- コミュニケーションの難しさ
- うまくいかない学校生活
本人も疲れ、イライラし、周囲もどう支えればいいのか悩む。
私自身、娘を見ながら
「どうしてあげればいいんだろう」
と思うことが本当にたくさんあります。
だからこそ、似鳥氏の言葉はとても意外に、不思議に、感じます。
「特性」が会社を大きくした
本書の中で似鳥氏は、
- ADHD的な強い行動力
- 強すぎる発想力
- 次々と挑戦するエネルギー
こうした特性こそが、会社の成長につながったと語っています。
一方で、
- 小学校6年生まで漢字で名前が書けなかった
- コミュニケーションが苦手
- 対人恐怖症になった
- 落ち着きがない
- 勉強が苦手
そんな困難も抱えていたそうです。
「困りごと」は確かにあった。
でも、その裏側には「他の人にはない力」も確かにあった。
これは、特性ある子たちを見ていると本当に感じることです。
なぜ、挑戦できたのだろう
本を読みながら、私はふと疑問に思いました。
なぜ似鳥氏は、こんなにもチャレンジし続けられたのだろう。
特性のある子たちは、失敗経験が多く、自信をなくしていることが少なくありません。
「どうせまた失敗する」
「怒られる」
「できないと思われる」
そんな経験が積み重なると、「挑戦」そのものが怖くなっていきます。
でも、似鳥氏の文章には、どこか独特の明るさがあります。
楽観的とも言える前向きさ。
「まあ、やってみるか」という軽やかさ。
それは、特性ある子を育てるうえで、とても大切な視点なのかもしれないと感じました。
「特性」ではなく、「その子自身」を見る
苦手さばかりに目を向けるのではなく、
- どんなことに夢中になるのか
- どんな場面で力を発揮するのか
- どんな発想をするのか
そこを見つけて伸ばしていく。
「みんなと同じ」が難しくても、
「その子らしい強み」が必ずある。
たった一つでもいい。
その子だけの武器を見つけていく。
それが、特性ある子を育てる中で、とても大切なのではないかと思うのです。
「特性」の奥にある、本当の個性
社会の中では、「特性」は困りごととして語られがちです。
もちろん、支援や配慮は必要です。
でも、それだけでは見えなくなるものがあります。
特性の奥には、その子にしかない個性がある。
その個性は、将来どこかで誰かを助けたり、社会の役に立ったり、自分自身を支える力になるかもしれない。
だからこそ、
「特性」にとらわれすぎず、
その子自身を前向きに見ていきたい。
そんなことを、似鳥氏の言葉から改めて感じました。
最後に、似鳥氏が特性ある子の親に向けたメッセージを引用したいと思ます。
すると、親御さんもほかの子と比べてできないことを心配しすぎたり、我が子を守ろうと過保護になったり、時には子どもを責めてしまったりします。その気持ちもわかりますが、やっぱり私は、短所があってもそれでいいと思うのです。見守る側になった時に大事なのは、できないところに注目しないこと、周りと比べてあれこれ言ったりしないことです。
「できない」より、「できる」を見るようにしてほしいのです。似鳥昭雄『発達障害の私だからこそ、成功できた』祥伝社